近況報告:特許検索研修会への参加
気づいたら半年以上過ぎてしまいました。ちょっと近況報告を兼ねて。
先週、東京の新橋で検索の講習を受けてきました。付き合いのあるデータベース屋さんの主催でそのビルの1フロアを借りて、約30人くらいのこじんまりとした環境下での講習でした。
講師は、酒井美里さんという方です。昨年大阪で行われた、関西特許情報センター振興会主催の特許検索競技大会で優勝された、その道では結構有名な人です。今は長野で特許調査会社を経営しておられ、ブログを書いておられるのでご存知の方も多いことでしょう。
有料の講習ですので講義の内容の詳細は割愛しますが、基本的には、FI・Fタームの検索の詳細、キーワード検索の場合でどうしたら的確なキーワードを発見できるか、というものでした。これらの内容は、特に日本の特許検索では決定版ともいうべきものであり、特許検索に携わる人であれば必然的に入っていかない部分に属すると感じています。3年ほど前のエントリで触れたことがありましたが…。
この特許検索というのが結構厄介で、かつ奥が深い部分です。なぜか社内でも暗黙知に属する部分になってしまっていて、あまり技能の伝承が進んでおらず、人によってピンからキリまでの差があります。例えば、出願に際して「先行技術はありませんから特許性があります!」と発明者が自信満々で届出書を持ってくるときがあるのですが、たいていは、全文検索でいきなり自分の知っているキーワードを適当に打ち込んで出てこなかったというケースが多い。知財部員でもIPCとキーワードを使った大雑把な検索で良しとしてしまっているケースを散見します。
実はデータベースの特性を熟知していないと欲しい結果が得られませんし、FI・Fタームについても特許庁の審査官の審査業務の効率化のためにできた、という経緯があり、特有の癖があります。そのあたりを良く知っておかないと正しい検索ができません。
今回の研修では、特許庁の分類付与はFIのみで、IPCはコンコーダンスで機械的に付与しているとか、Fタームでは分類付与(解析)に3種類あり、それぞれに応じて検索式の立て方を変えるべきであるとか、本では学ぶのが難しい点を色々と教わりました。
今回は極めて有意義なノウハウ満載で、往復の交通費と受講料を差し引いても完全に元が取れました。講師の酒井さんに感謝しつつ。
[参考資料]
酒井 美里. “特許検索手法のマニュアル化と検索ノウハウの伝達”. 情報管理. Vol. 50, No. 9, (2007), 569-577
| 固定リンク
「仕事」カテゴリの記事
- 知られざる知財管理部門(2020.02.16)
- 事業戦略/研究開発戦略/知財戦略の三位一体論の実際(2009.10.12)
- 知財部門とマネジメント適性(2009.04.30)
- 知的財産管理技能士の特例講習(準1級)について(2008.07.28)
- 近況報告:特許検索研修会への参加(2008.05.31)
「知財」カテゴリの記事
- 知られざる知財管理部門(2020.02.16)
- [書評] インビジブル・エッジ(2011.09.12)
- [書評]マイクロソフトを変革した知財戦略(2010.10.04)
- 読書記録:「フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略」(2010.07.18)
- 事業戦略/研究開発戦略/知財戦略の三位一体論の実際(2009.10.12)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
(こちらでは)はじめまして!
ご聴講くださっていたのですね。
過分に褒めていただき、恐縮です。(照)
ありがとうございました。(^^)
Pecanさんのブログ、以前から
RSSリーダーに登録して、読ませていただいていたので、
自分が登場していて、本当にびっくりしました。。。(笑
さて、検索のほうですが、
お伝えした手法はオーソドックスなものだと思います。
でも「普通なんだけど、説明しにくい部分」みたいです。私もうまく説明ができているのかどうか・・・?
精進していきますので、これからもよろしくお願いします。
投稿: sakai misato | 2008/06/02 11:57
sakai misatoさん、当ブログにお越しいただき、ありがとうございます。
また、当ブログを以前からお読みいただいていたとのこと、汗顔の至りです。このところ更新をサボっていたのですが、色々と状況も変わってきたので少しずつ書いていきたいと思っています。
検索の講習は、とてもよかったですよ。ある程度経験しているからこそ、価値がわかる、というか…。
実は同じ職場の人が昨年の秋の講習を受けていて、内容をいろいろと伝え聞いており、楽しみにしていました。期待を裏切らないものでした。
ところで、関連分類をまとめた表について、手動で切り出しをなさっていましたが、あの後自分で見てみましたら、テーマコード表一覧は、Excelでダウンロードできるようになっていました。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/xls/themecode/code.xls
このデータを使えば早いですね。ご参考まで。
投稿: Pecan | 2008/06/03 21:03
こ、こんなのがあったんですね!感動です!
↓
>http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/xls/themecode/code.xls
これなら断然早いし、転記の間違いもないですよね。
全く知りませんでした。感謝です!
こちらのブログでも、ぜひ紹介させてください。
ありがとうございました。
投稿: sakai misato | 2008/06/04 13:35
Pecanさんご訪問ありがとうございました。リンクがなかったので、酒井さんのブログ経由で訪問させていただきました。
療養中ですか。お身体ご自愛ください。
投稿: toy-san | 2008/06/04 21:21
sakai misatoさん、ブログでご紹介いただきありがとうございます。
自社の技術に関するFターム集を作るのに大いに役立ちそうです。自分でまとめたものが一番使いやすいと思いますし…。今後使っていこうと思っています。ありがとうございました。
投稿: Pecan | 2008/06/05 02:16
toy-sanさん、ようこそ。お越しいただきありがとうございます。
コメントを入力したときに、urlの入力方法がわからなかったので、リンクを貼れず失礼いたしました。
体調も最近ではかなり回復してきていますが、どんどん仕事が入ってきてしまって、文字通り、忙しく心を亡くしてしまっているような気がします。ブログは書きながら自分を振り返るいいチャンスなのですが…。
投稿: Pecan | 2008/06/05 02:30