Link

« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »

2006年7月

神大教授・特許データ捏造問題・・・企業も姿勢を正すべき

7月14日に書いた記事にいただいたコメントやトラックバックに対して、コメント欄に返信を記載しかけておりましたが、長くなりそうですので、記事といたします。

MANTAさん、chem@uさん、「弁理士の日々」のボンゴレさん、f16fightingfalconさん、コメントおよびトラックバックをありがとうございました。

今回の場合、客観的事実のみで構成されるべき「学術論文」と、発明の思想範囲内で最大の権利取得を目指す「特許明細書」を同一視して白か黒かの二元論で割り切ろうとした不勉強なマスコミ報道にも問題があるとは思います。そこには、chem@uさんの以前の記事にもあるように、火のないところに煙を立てようとする意図があったのかも知れません。

しかし、MANTAさんがコメントで書かれていたように、昨今、論文データ捏造や研究費不正使用問題をめぐる不祥事が相次ぐ中、慣習であったとしても、事実に基づかない予想データを実際に行なった事実であるかのように記載することは、客観的に見て、イメージを落とすことはあっても、賞賛される行為とは言えず、大学にとってリスクとなることは明らかです。

chem@uさんからのコメントにもあるように、今回の事件が産学連携に与える影響は大きいものになる可能性があります。が、色々と考える中で、大学ばかりではなく、企業も同様なのではないかと思えるようになりました。すなわち、事実に基づかない予想データを、あたかも事実であるかのように特許明細書に記載して権利を取得することは企業にとっても法律的には問題ないかもしれませんが、企業として「正しい」あり方ではないのではないか、ということです。昨今、コンプライアンス(法令順守)が声高に叫ばれ、多くの企業でも組織を整えて目立つように活動をしております。しかし、いくら内部の書類を監査したり規則を整えたりしたとしても、特許明細書には、事実でないことを事実であるかのように記載する慣習を放置しておくならば“仏作って魂入れず”ということになりはしないでしょうか。法律に触れるものではありませんが、これが明るみに出て、今回のようにマスコミに「捏造」という先入観を持って報道されることを考えれば、企業にとって高い「リスク」となり得ると考えます。

ここでお断りしておきたいのは、実際には未確認であるけれども発明思想から当然予想される権利範囲を取得することを問題視しているわけではない、ということです。問題視しているのは、“行なっていない実験を実施例として実際に行なったかのように記載する”という一見「形式的」な点です。たかが「形式」ですが、されど「形式」です。

特許庁の審査官は、架空のデータであっても、明細書に実際に行なったと記載されている以上、怪しいと思っても、事実と見なさざるを得ません(これは実際に審査官との面談で知り合いが聞いたことです)。明細書が形式的に整っていさえすれば、すなわち、論理が一貫しており、特許要件を満たすことが明らかであるように記載されていれば、明細書の内容が事実かどうかに拘わらず、特許になり得るということを意味します。

通常、発明者が提出する提案書には、実際に自分が見つけた構成しか書かれていないことが多いため、発明を思想として捉えて上位概念化しようとすると、実施例に記載するための追加の実験が必要になるケースが多々あります。このようなとき、実際に実験ができれば良いのですが、事実上難しいことが多いため、発明者や知財担当者等が架空の実験データを実施例に記載して、明細書としての形式を整えて出願することが実務として行なわれています。今回の神戸大の事件における捏造の張本人である中井哲男教授も企業時代にそのような実務をしており、そのまま大学に持ち込んだのが失敗のもととなったものと想像しています。

しかしながら、誤解を恐れずに言えば、上位概念化したときに不足するデータを架空の実施例により補おうとするのは知財担当者としては手抜き以外の何者でもありません。自分に対する反省の意も込めた上でそう言い切りたいと思います。それでは、どのようにすればよいか…。妙案はありませんが、発明の本質をよく理解し、上位概念化した構成に対しても敷衍できることを明細書内で説明し、審査官が納得できるように書いていくしかないのではないか、と思います。さらに前回の記事でも書いたように、出願したらそれで終わりではなく、国内優先を活用して出願後に実施したデータの追加を行なうなど可能な限りフォローを行なうことにより、特許明細書の充実を図ることが効果的だと考えます。

特許という点だけから考えれば、他社と生き馬の目を抜くような戦いをしている中、あえて自社だけが不利な道を行くのは理不尽だとの反論もあろうかと思います。確かにその通りです。しかし、一方でコンプライアンスを唱えながら、他方では明細書の実施例に実際に行なっていない実験を行なったと記載して権利を取るというのは、どこかが間違っています。

ところで、「弁理士の日々」のボンゴレさんのトラックバック先の記事で紹介されているように、米国ではクリーンハンドの原則が適用されるため、明細書に行なっていない実験を行なったと記載することは特許の権利行使ができなくなるなどの厳しいペナルティが課せられます。米国の制度は、独自の先発明主義、多額の費用を要する裁判制度など、色々と問題はありますが、このクリーンハンドの原則はあるべき姿が具現化されており、かくありたいものと思われます。日本に出願するときには、どのような出願であっても、将来、米国に出願することを念頭に実務を行うというのも問題を避ける一つの手だと思います。

神戸大学教授特許捏造問題に一応の決着

データ捏造 神大2教授に訓告(神戸新聞Web版より)

 神戸大学が、ダイヤモンドを使った工具の発明について特許を出願した際に、担当教授が実験していないデータを捏造(ねつぞう)し出願書類に記していた問題で、神戸大の調査委員会(委員長=北村新三理事)は十三日、「未実施のデータを含んだ特許の出願は、研究者の倫理に照らして不適切」とする調査結果を発表、教授ら五人を訓告や口頭厳重注意とした。

 調査によると、問題となった工具の発明にかかわったのは、連携創造センターの中井哲男教授▽工学部の大前伸夫教授▽同、田川雅人助教授。

 このうち中井教授が、必要な実験装置がないにもかかわらず、大前教授らが出した実験データを参考に、あたかも実験を実施しデータを得たかのように出願書に書き込んだ。

 大前教授は出願前、「こんなことまで書いて大丈夫か」と何度も確認したといい、中井教授は「書き過ぎた」と反省しているという。

 神戸大は、この出願について、「違法行為ではないが、重大な問題がある」と判断。同日付で中井、大前両教授を訓告、田川助教授を口頭厳重注意とした。また、管理監督責任を怠ったとして、眞山滋志連携創造本部長と、薄井洋基工学部長も口頭厳重注意とした。
(後略)

この件では、chem@uさんのブログの記事で、企業の技術者出身であった中井教授が関与していた可能性を挙げておられましたが、その通りだったようです。私も以前の記事で書きましたが、大前教授が一人で行なったというのはどう考えても不自然でしたし、教授一人に責任をかぶせて終わりにして欲しくないと思っていましたので、事実が明るみに出て、良かったと思います。また、懲戒ではなく訓告で済んで良かったとも思います。

まあ、もともと特許の世界では当然成り立つだろうと予想されるデータを盛り込むことは慣習として行われています。したがって、これを懲戒処分にするとすれば、波及する影響が大き過ぎます。といって、これだけ騒ぎになってしまっている以上、無実として放免するわけにもいかず、大学側が懲戒には当たらない訓告処分で手を打たざるを得なかったのは必然の結果だったと思います。

ただし、“違法行為ではないが、重大な問題がある”とわざわざ断っていることから、今後は(少なくとも)神戸大学において同じことを発生させることは許されないことが明確になりました。手元の読売新聞の関西版の記事によれば、神戸大学は“今後、研究者の行動規範を策定し、研究者倫理の徹底を進める”とあります。

リスクマネジメントの観点から、他の大学もこのような規範を策定・導入することは時間の問題です。したがって、企業側としては、大学との共同研究においては、出願明細書に記載するデータの真偽については極めて慎重な姿勢で取り組む必要があると思います。特に、実際に行なっていない想像上の実験データを実施例として「○○を行なったところ、△△のような結果が得られ、本発明の効果が確認された」などと、あたかも実験を行なったかのように過去形で記載することは避けなければなりません。もし、実際に行なっていない(が発明思想から考えて当然成り立つはずの)内容を書く場合は、出願時には発明の構成だけの記載に留めておくべきです。出願後1年間は先の出願に対して新しい内容を追加して出願できる国内優先という制度がありますので、これを利用して、実際に行なったデータを実施例として補充するのが良いと考えます。

ココログメンテ終了!

さて、長かった2日間のメンテも終了しました。

その間、全く管理画面に入ることができず、投稿は不可能な状態でした。しかし、ココログのトップを見ていると、少ないながら投稿している人がいる! どうやっていたんだろう…。内部関係者? サーバの試験稼働中に運よく書き込みできた人? 謎を残しながらも今日から書き込みが可能となりました。現時点ではさくさく動くほどではありませんが、以前ほどの重さではなく、まあ許容範囲です。

2日間のメンテ

さて、7月11日の14時から7月13日の14時までココログがメンテで完全にストップします。その間は全く書き込みができなくなるようです。今は昼ですが駆け込みで書いている人が多いためか、管理画面に移動できない状況です。といいつつ、無理矢理書き込んでいる私ですが…。

件数評価の弊害

夜中は全く動作が止まっているに等しい状態のココログですが、この時間帯はまだましのようです。ということで、ささっと書き込んでしまいます。

このところ、療養中であることを忘れてしまうほど、仕事が立て込んでいました。ほぼ1週間間隔で米国の拒絶理由通知(OA)の対応が3件、その合間を縫うように、複数の担当部署から他社特許の検討依頼および自社の構成との関係確認、知財部責任者の合同会議での報告資料の作成、新規代理人との面談・トライアル案件の評価、既出願案件の再評価、自部署のメンバーの出願・中間処理の原稿チェック…。優先順位をつける間もなく、来た仕事に片っ端から手をつけていくという感覚でした。

実のところ、一番時間をかけているのは、自部署メンバーの教育です。最近新しく中途採用でメンバーを増員してもらいました。ある程度知財経験があり、能力も意欲もある20代の人ですので、将来が楽しみですが、まずは担当する技術に慣れるために部署の他のメンバーにも協力してもらいながら、技術教育。ちょうど新入社員に対する社内の技術教育のプログラムが行なわれているのでそちらにも飛び入りで参加してもらったり…。

私見ですが、知財部員としては、技術者と対等のレベルで話ができる程度に技術を理解してもらう必要があると考えています。そうでなければ、技術者が書いた発明提案書に書かれている実施例レベルの発明を思想として抽出することは難しいです。過去の自社出願の内容を見ても、実施例レベルの発明をそのままクレームしたものがいかに多いことか。実施例をクレームしただけのものは、他社にとってみれば回避可能であり、特許としての価値に乏しいものがほとんどです。

出願件数だけで知財部員の能力を評価すると、このように発明提案書をちょっと読んだだけでさっさと実施例レベルのクレームを作って内容の薄い出願を数多くうった人が高い評価を得ることになりがちです。呻吟しつつ発明思想を抽出して上位概念化したクレームを作成し、さらに先行技術を予想して明細書に先回りで減縮事項をちりばめておく。そのような出願は、数多くうてるものではありませんので、出願件数評価では低くなりがちです。どちらの特許が自社の重要技術を他社の侵害から守ることができるか、私は間違いなく後者だと思うのですが…。

ただ、このように工夫を凝らして出願しても、担当者が変わると全くその工夫に気づいてくれずガックリすることもたびたび。拒絶理由が来たときに拒絶を受けなかったクレームだけ残して、後はさっさと削除してしまったり…。“こう言って来たら明細書のこの部分を引用してこう言い返せ”と指示書を包袋に残しておこうか、と半分本気で考えています(苦笑)。

ピアノネタ引越し

忍者ブログでIDをとり、ピアノに関する話題のみ引っ越ししました。
こちらです。
ピアノのレッスンや練習については新しいサイトに書いていきます。
なお、このココログのサイトは重いという問題はありますが、多くの方々に来ていただいておりますし、近日メンテを行うようなので、しばらくはこのままで行きます。

ココログ重い・・限界か

この数日、夜になるととても重くて書き込みが困難な状態です。ボタンを押して5分くらいたっても何も変化がない状態です。7/11にメンテをするそうですが、いつも同じことを繰り返しているようで際限がありません。
コメントとかトラバもあわせて移動できるのであれば、引っ越したくなってきました。どなたかいい引越し先がありましたら教えてください。

最初のピアノのレッスン

昨日土曜日が最初のピアノのレッスン日。娘が夜7時から30分間レッスンを行い、その後の30分が私の番。連弾のときは息子や娘が隣にいたのだが、一人で受けるのは今回が初めてとなる。自宅で1時間半ほど練習してから出陣。

予定通り、悲愴の第一楽章から。最初にGraveの箇所。ペダルなしで右と左でそれぞれ1回ずつ先生の前で弾く。その後、ペダルを入れて両手で合わせてみる。ペダルは音が濁ったら踏みかえれば良いとのこと。ずっと譜読みを繰り返していた箇所なので音がわからなくて止まるということはないが、半音ずつ下がってくる箇所の運指を覚えておらず、途中で指が合わなくなることが多い。先生からフォルテとピアノの抑揚をはっきりと付けるように注意。

レッスン前は、多分今日はこのくらいで終了だろうと思っていたが、思ったより先に進み、第一主題(左手オクターブのトレモロ連打がある箇所)もやることに。第二主題(変ホ短調)の直前までつっかえつっかえでとりあえず両手で弾き終える。あまり譜読みをしていなかったせいもあり出来は散々だが、実力はこんなものだろう。

帰る直前、なぜか先生は上機嫌。

「この前のコンサートはスタインウェイでしたが、前回のベーゼンドルファの方がよかったですね」
「はぁ」(ベーゼンドルファ?)
「次のときはベーゼンドルファにしますから楽しみにしていてください」
「はぁ」(んっ、次って?)
「次回では、○○ちゃん(娘)と○○くん(注:3番目の子供です)との連弾とさらにソロもお願いしますね」
「はぁ」(え゛~っ)

« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

twitter widgets

あわせて読みたい

  • あわせて読みたいブログパーツ
無料ブログはココログ